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2025年の株式市場見通し- 不確実な世界で特定の市場をナビゲートする
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グローバル・エクイティ・オブザーバー
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2025年1月31日
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2025年1月31日
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2025年の株式市場見通し- 不確実な世界で特定の市場をナビゲートする |
2024 年にMSCI ワールドは19% ( 米ドルベース)上昇し、市場全体にとっては非常に好調な一年でした。これにより、過去6年間にリターンが年間で15%(米ドルベース)を超えたのは5回目となりました(1)。しかし、2024年の19% のパフォーマンスのうち、約2割は「マグニフィセント・ワン(=エヌビディア)」によって創出されており、マグニフィセント・セブン全体では指数全体のパフォーマンスの約半分を牽引していました。つまり、指数を構成する全企業がまんべんなくリターンに貢献したというわけではありませんでした。また、地域別でも大きな差異が見られ、 EAFEが4%のリターンであったのに対し、米国はそれを20 ポイント上回る24% のリターンでした。
2024年のリターンの源泉は、いくつかの要素に分解することができますが、その多くの部分は利益によって説明することができます。S&P500の 2024年の予想EPSは2023年対比で12%上昇しましたが、これはマグニフィセント・ワン(=エヌビディア)の予想EPSが38%急増したことが大部分を占めており、S&P500のマグニフィセント・セブンを除く残りの493社の予想EPSの上昇はわずか6%でした。しかし、この米国のロングテール(マグニフィセント・セブンを除く493社)でさえ、EAFEの予想EPSが2%減少した結果と比較すると、はるかに強いものでありました。
米国の経済成長の強さと同じくらい、強い米ドルも米国にとって追い風となりました。2024年の米国のGDP成長率は、ドイツと日本経済のマイナス成長とは対照的に、非常に健全な2.7%成長を達成しました(2)。
また、PERにおいても市場間で大きな差異が見られました。米国市場は12か月予想EPSに基づく PERが前年比で10%上昇し約22倍となり、マグニフィセント・セブンを除いたとしても19倍となりました。一方で、EAFEのPERはわずか3%増の 13.8倍となり、米国と比較するとEAFEの株価は36%割安な状態となっており、これは過去最高の数値となっています。
今後の見通しとして、米国経済は他の先進国市場よりもその健全性が持続すると考えています。 2025年の米国の予想GDP成長率は2%強と予想されており、住宅ローン契約や製造業PMI(購買担当者景気指数)の低迷など一部の分野で軟調が続いているにもかかわらず、米国の予想GDP成長率はEAFEの2倍となっています。しかし、米国にとって経済成長の出発地点が既に高い水準にあることを考えると、過去2年に比べ、米国経済が成長するためのポジティブサプライズを見つけることは困難になるでしょう。
楽観主義者は、トランプ大統領が実行する可能性のある、法人税の減税、規制緩和、M&Aの自由化が企業の収益性を加速させる可能性を指摘しています。楽観視できる要素がある一方で、トランプ政策には、関税引き上げによる物価の上昇や、移民の国外追放によって人件費が上昇する可能性があり、なかなか収束の兆しが見えないインフレをさらに悪化させる懸念もあります。足元の米国の政策環境は異常なほど流動的であり、また、次期政権の計画は明確さが欠如しており、実際にそれらを実施する能力が次期政権にあるか否かは二の次であると考えています。
経済的な要因で、本来意識しなければならないがさほど注目されていないのは、米国の財政赤字です。足元の米国の財政赤字額は、経済が完全雇用に近い好況にもかかわらずGDPに対して6~7%という、意外なほど高い水準で推移しています。マクロ経済の純粋主義者たちはカレツキ=レヴィ方程式を引用し、米国の財政的放漫さがいかに企業の利益率を高めているかを指摘しています。より具体的に言えば、米国の財政赤字はDOGE(政府効率化省、トランプ政権が設置)の取組みで大幅に削減される可能性があるものの、減税が遅れる場合には経済での需要が減退し、経済成長と企業利益に大きなマイナス効果が副作用的に表れる可能性があります。あるいは、既に36兆ドルに達する米債務がさらに増加し財政赤字が非常に高水準で維持されることで、長期国債の利回り上昇や、さらにはドル安を引き起こす可能性があります。連邦準備制度が金利を100ベーシスポイント(1%)引き下げたにもかかわらず、10年国債利回りが100ベーシスポイント上昇したことは、不吉な兆候かもしれません。
私たちが本当に懸念しているのは、米国(具体的にはSP500指数)の2025年の予想EPSが2024年対比で+15%が見込まれている中で、それをどのように達成していくのかという点です。マグニフィセント・セブンを除いても+13%の成長が見込まれており、つまり幅広い企業で成長が見込まれているということです。一方で、売上高は名目 GDP成長率の予想に沿って5%の成長が見込まれているため、この2桁のEPS成長は、すでにほぼ過去最高水準にある利益率がさらに大幅に改善することを意味しています。これは、マグニフィセント・セブンを除いた場合でも同様です。
市場全体との相対パフォーマンスの観点では、安定した高クオリティのコンパウンダー企業に投資する投資家にとっては非常に苦難な時期でした。なぜなら、コロナ禍後のインフレ環境下において低クオリティ企業も値上げがしやすい環境にあったことで、これら企業の収益性が向上した事と、生成AIの興奮という2つの要素が、市場の堅調なパフォーマンスを後押ししていたからです。通常、ポートフォリオ企業の利益率は、それら企業の優れた価格決定力によって、株式指数よりも一貫して高く、安定していますが、足元の特異な環境下においては、非常に珍しいことではありますが、低クオリティ企業とポートフォリオ保有企業との利益率の差が縮小しています。
また、2024年の株式市場全体(MSCIワールド指数)との相対パフォーマンスという観点での難題はPERに関するものでした。ポートフォリオの予想EPSは強い米ドルの逆風にもかかわらず、株式指数全体と同水準で、7%成長を達成しました。ただ、バリュエーション面ではポートフォリオは 1%のPER上昇に留まった一方で、株式指数は9%もPERが上昇したことで、ポートフォリオはアンダーパフォームしました。今後は、ポートフォリオはバリュエーション面で比較的優位な立場にあると考え、なぜなら、ポートフォリオ企業のはるかに高いクオリティと優れた売上成長見通しにもかかわらず、PERで見た市場対比のポートフォリオの割高度合いは 22% ( MSCI ワールドの PER19.1倍に対して、ポートフォリオのPER23.2倍)と、過去10年間の範囲内で下限に近づいているからです。さらに、株価をフリーキャッシュフローで除した倍率で比較した場合、ポートフォリオの対株価指数の割高度合いはほぼ消失しており、足元ではわずか1%になっています。
健全な売上を背景にした信頼性ある利益成長
前述の通り、ポートフォリオのバリュエーション面における優位性をお話しさせて頂きましたが、ポートフォリオは利益の面でも優位な立場にあると言えるでしょう。保有銘柄の強力な価格決定力と継続的な売上を考慮すると、景気後退期においてもインデックスよりはるかに利益の耐久性があり、過去15年間で唯一の景気後退局面であったコロナ危機においてもその耐久性は示されました。
下落局面の到来の有無にかかわらず、絶対的および相対的、両方の側面においてパフォーマンス見込みが魅力的であるということです。コンセンサスでは、今後2年間でポートフォリオのEPS成長率を年間11%と予想しています。これは、年間 7% の売上成長率の推定に基づいており、加えて、営業レバレッジ、買収、そして自社株買いによる4%のEPS成長が上乗せされることで達成可能と考えています。これは、株式指数で予想されている、利益率上昇期待に依存する年間12%の EPS成長よりも、はるかに信頼性が高いと考えています。株式指数は、売上成長がわずか5%に留まるとされている一方で、利益率が既にピークに近い状態では、7%の差分を埋めることは難しいと考えられるからです。
ノーベル賞を受賞した物理学者ニールス・ボーアおよび、野球殿堂入りを果たしたヨギ・ベラの両者は「予測は非常に難しい、特に未来については」と述べています。両者がこの主張をした背景は異なるものの、ニールス・ボーアとヨギ・ベラともに、2025年における予測が特に難しいという点では同意するでしょう。これは、地政学的リスクの高まりや米国の政策の不確実性に加えて、生成AIに対する予測が大きく異なるためです。しかし、市場がそのような疑念に悩まされている様子は見られず、株式市場の高いバリュエーションやVIX指数の値の低さ、そして最も顕著なのは、 BBB格付けの社債スプレッドが今世紀で最も低い水準にあることがその証拠であると考えます。このように、市場が世界の不安定さに無関心である中、堅実な売上成長と安定した利益を通じて、資産を着実に複利的に増やし、なおかつ適正なバリュエーションで取引されている当戦略は、お客様のポートフォリオにおいて、重要な役割をご提供できると考えています。
※本書で言及されている個別銘柄は情報提供のみを目的としており、当該個別銘柄の推奨を目的としたものではありません。
1 出所:FactSet、2024年12月31日現在。 2. 出所:ブルームバーグ、2024年12月31日現在。
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インターナショナル・エクイティ運用チーム責任者
インターナショナル株式運用チーム
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マネージング・ディレクター
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