リサーチ・レポート
収益成長を後押しする強固なファンダメンタルズを有するクオリティの高い物件への投資機会に注目
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2024年 アウトルック
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2024年1月15日
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2024年1月15日
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収益成長を後押しする強固なファンダメンタルズを有するクオリティの高い物件への投資機会に注目 |
1 | 過去2年間、不動産価格は大幅に価格調整が入りましたが、調整後のリターンは平均的なリターンを上回ってきました。 |
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2 | 不動産ファンダメンタルズの強さは、長期的な需要ドライバーに裏打ちされたセクターの高クオリティ物件の賃料上昇をサポートするはずです。 |
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3 | 負債の満期到来と「より高くより長い」金利環境は、市場全体ではなく特定の売り手に困難な(ディストレス)状況をもたらし、魅力的な資本増強/クレジット投資の機会をもたらすと考えます。 |
市場の状況
堅調なマクロ経済を背景に、不動産のファンダメンタルズは(オフィスを除き)ほとんどのグローバル市場で力強く推移しています。低い空室率、建設コストの上昇、資金調達の困難さから当面は新規供給が制限される可能性が高いため、立地の良い高クオリティ物件は平均を上回る賃料の伸びが期待されます。
物流施設や、賃貸住宅、オルタナティブ・セクターでは、賃料の伸びは正常化し始めており、供給過剰により一部の市場では軟調となる可能性がありますが、これらのセクターのファンダメンタルズはその他のセクターをアウトパフォームすると予想されます。金利上昇により、不動産所有者に提供される借入金残高の減少につながってきました。私たちモルガン・スタンレー・リアルエステート・インベスティング(MSREI)は、短中期的に不動産オーナーはデレバレッジ(負債削減)圧力に直面し、他の投資家がこれらの資産を取得したり、資本増強やそれに近いストラクチャード・クレジット投資に資本を投下したりする機会が生まれると考えています。
投資行動・今後の方針
市場競争の緩和が予想されるなか、私たちは、米国、欧州、アジア太平洋地域の新規供給制約がある市場において、価格が調整した物流施設、インフィル1、ラストワンマイル2物流施設の取得を目指しています。人口流入と賃金上昇の恩恵を受けている日本の主要都市では、比較的低い資金調達コストを活用し、既存のパートナーとの関係を活用して賃貸住宅物件の取得によるポーフォリオの積み上げを進めていきます。流動性を必要とする上場企業や投資ファンド、個人オーナーから資産を取得したり、資金調達ソリューションを提供したりする機会を模索しています。
コロナ後の入居者の要件を満たす、最高水準のクオリティを有する物件を取得したいと考えています。また、アセットマネジメントの専門知識を活用して収益の拡大を図り、エネルギー効率を最適化すべく環境・社会・ガバナンス(ESG)を補強する機会を狙っています。ホスピタリティ、高齢者向け住宅、学生用住宅など、需要の追い風と投資家の関心の高まりが期待できるニッチセクターへの投資を評価しています。足元の高金利環境において、代替的な資金調達源として相対的に魅力的であることから、セール・リースバック(賃貸借契約付き売却)の機会を検討しています。
今後の注目点
地政学や景気、インフレ、金利のシグナル、ディストレスや投げ売りの兆候を注視しています。新たな銀行規制や家賃規制、不動産税などの規制リスクの高まりにも注目しています。
世界的な混乱やサプライチェーンの再構築、地域・市場・セクターごとに異なる回復サイクルにも注目しています。私たちは、構造的な需要ドライバーのシフトと、それが入居者の嗜好やコア不動産の定義にどのような影響を与えるかを注視しています。例えば、オンショアリング/ニアショアリング、ESG、人工知能、高齢化などが挙げられます。私たちは、投資家のセンチメント、アロケーション、戦略の選好に細心の注意を払っています。