リサーチ・レポート
落ち着いて投資を継続しよう
|
2024年 アウトルック
|
• |
2023年12月27日
|
2023年12月27日
|
落ち着いて投資を継続しよう |
1 | 私たちは、引き続き企業固有のファンダメンタルズを重視しています。市場の状況やマクロ経済的な事象は年ごとに変化しますが、企業のファンダメンタルズは長期的な株価上昇の原動力となるものです。ポートフォリオの保有銘柄全体のファンダメンタルズはほぼ健全な状態を維持しており、私たちの期待に沿ったものとなっています。 |
|
2 | 私たちは、保有する各企業は成長するための態勢が整っていると確信しています。昨年、株価の急落に見舞われた多くの保有企業は、最良の収益機会に改めて焦点を絞り、より早く収益性目標を達成することで、この低迷を最大限に活用しました。私たちは、彼らのビジネスは本質的にリスクを軽減していると見ていますが、こうした改善は現在の株価には反映されていません。 |
|
3 | 私たちは、資本コストの上昇が及ぼす長期的な影響について調査しています。持続可能なビジネスを構築してこなかった企業の多くは、今後資金不足に陥るため、競争が減少する一方、既に価値あるビジネスやブランドを確立している企業には、恩恵が及ぶと考えます。 |
市場の状況
利回りの高さから、マネー・マーケット・ファンド(MMF)への資金流入が記録的なものとなっています。投資家たちがMMFに殺到する一方、株式市場からの資金流出が急増しています。まるで世界中が、財務省短期証券の約5%の利回りに満足しているかのように見えます。しかし、歴史と人間の行動が示しているように、妬みや機会を逸することへの恐れの感情が必然的に市場参加者の心に忍び寄り、彼らはさらに高いリターンを求めて他の市場を探し始めることでしょう。
私たちは、保有する各企業は成長するための態勢が整っていると確信しています。昨年、株価の急落に見舞われた多くの保有企業は、最良の収益機会に改めて焦点を絞り、より早く収益性目標を達成することで、この低迷を最大限に活用しました。これらの企業は現在、懸命な努力の成果を獲得し始めており、成長の態勢を整え、これまで以上にビジネスの遂行に注力しています。私たちは、彼らのビジネスは本質的にリスクを軽減していると見ていますが、こうした改善は現在の株価には反映されていません。
機に乗じた債券の購入は、よく取り上げられる話題です。保有するいくつかの企業は、自らの債券価格の暴落を受けて、1ドル当たり数セントで自社の社債を買い戻しました。これは株式保有者への富の移転であり、保有企業のレバレッジの低下をもたらすだけでなく、魅力的な価格での自社株買い(これは私たちも大好きです!)に似ています。
株価のボラティリティは、特に中小型株セクターで過剰でした。四半期の決算発表に伴い株価が20~30%も下落した企業もありました。私たちは企業の保有者として、企業の本質的価値は四半期ごとにそれほど変わるものではないと考えています。しかし、ガイダンスにとらわれた市場参加者は、まず株式を売却し、質問は後回しにしているように見えます。
メガ・キャップ・マニアへの懸念があります。年初来の株式指数のリターンの大半は、わずか数社(「マグニフィセント7」)が牽引しています。このことから私たちは、市場参加者が「安全な」優良銘柄ならどんな価格でも買い続ける、新たなニフティ・フィフティ相場(人気50銘柄)の時代が到来することを懸念しています。時価総額加重型の株価指数は素晴らしいですが、そうでなくなる場合(特に一握りの企業が新高値へと急上昇し、銘柄の集中リスクが高まった場合)には、株価指数は素晴らしいものではなくなってしまいます。さらに、株価指数のフローがパフォーマンスを押し上げ、将来のリターンを弱めています。この反射的なダイナミズムは、金融システムを弱体化させていますが、現時点では、この弱点は投資家には見えていないようです。
投資行動・今後の方針
私たちは、株式が長期的に最もパフォーマンスの高い資産クラスであると変わらず信じています。株式は、何十万人もの有能な労働者の創造性、創意工夫、生産性を所有できるものです。お金は膨らませることができますが、才能は膨らませることができません。
私たちは、お客様とともに高度な投資を続けています。私たちは引き続き、繰延報酬の大部分を自らが運用する株式ポートフォリオに配分しています。
最近の市場のボラティリティは、株式の買い場を生み出しています。金利の上昇と生活費の増加は消費者に負担を強い続けていますが、その結果、一部の消費者向け事業の銘柄が大幅に下落し、そのボラティリティを利用して、私たちは魅力的な株価でこれらの企業に投資することができました。これらの企業は消費者に対して強力な価値を提供し、手掛けるビジネスは回復力があるものの、その価値は現在の株価には反映されていないと考えています。
私たちは、引き続き企業固有のファンダメンタルズを重視しています。市場の状況やマクロ経済的な事象は年ごとに変化しますが、企業のファンダメンタルズは長期的な株価上昇の原動力となるものです。ポートフォリオの保有銘柄全体のファンダメンタルズはほぼ健全な状態を維持しており、私たちの期待に沿ったものとなっています。
私たちは、各企業が直面する収益機会と課題を理解し、客観的かつ総合的な視点を維持することを心がけています。私たちが自問するのは、事業が今後3~5年でどの程度の規模に成長するのか、規模の優位性と単位当たりの経済性はどの程度か、経営陣のモチベーションは何か、キャッシュフローを生み出しながら消費者に対して強力な価値を提供できるだろうか等、多岐にわたります。
私たちは、企業の経営陣と信頼関係の構築を続けています。そして、経営陣が現在のマクロ環境を乗り切れるよう、建設的、戦略的、戦術的なアドバイスを提供することを目指しています。
今後の注目点
公開市場とプライベート市場:日次で開示されない資産クラスは、2022年に公開市場が経験したような痛みやドローダウンを経験していません。しかし、金利の上昇はすべての資産クラスに影響を与えるはずで、いくつかのケースではプライベート・アセットの高い評価額は実際に取引されるフェア・バリューを反映していないと考えられます。
借入コスト上昇の長期的な影響:今年もIPOは成功例が少なく、取引量も全般的に不足していることから、最大の資本プールであるIPO市場は開店休業状態と見られています。借入コストが高いことから、持続可能なビジネスを構築していない企業の多くが資金不足に陥るため、競争が減少する一方、既に価値あるビジネスやブランドを確立している企業は、恩恵を受けることになると考えます。
新たなビジネス・サイクルの兆しが見え始めている:私たちには、新たなビジネス・サイクルの兆しが見え始めていますが、このビジネス・サイクルは、私たちの保有企業をディフェンスからオフェンス・モードへと押し上げてくれると考えています。私たちは、保有企業が追い風から恩恵を受け始めたときに、正当な成功を収め、投資家のために長期的な価値を創造して欲しいと願っています。
|
カウンターポイント・グローバル株式運用チーム グローバル・エンデュランス株式運用戦略責任者
|